離婚しない場合でも不倫相手へ慰謝料請求する事が可能です。その際の慰謝料相場と方法です。

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「離婚しない場合の不倫や浮気慰謝料の相場」

離婚しない場合の不倫や浮気慰謝料の相場

当事務所に寄せられる慰謝料請求の事案で、よくご相談があるのが配偶者と離婚はしないで不倫相手だけに慰謝料を請求したいという方です。

結論から言うと、「配偶者と離婚はしないで不倫相手だけに慰謝料請求」は可能です。


ますは不倫や浮気の慰謝料とはどういう性質のものなのか?

不倫というのは、法律的には、不倫をした配偶者(夫)と不倫相手の二人が、共同してもう一方の配偶者(妻)の地位を侵害した、という共同不法行為という性質があります。


・共同不法行為(民法719条)
数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う。

・不法行為(民法709条)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

共同して不法行為を行った事から、その損害賠償責任(慰謝料)も、不倫をした配偶者と不倫相手が二人で共同して負うことになります。
夫婦には「貞操義務」があり、配偶者以外の異性と継続的に肉体関係を持つと民法上の「不貞行為」となり、貞操義務に反した不法行為に基づき慰謝料請求が可能となります。

不倫相手は、もう一方の配偶者(妻)の貞操権侵害に基づく不法行為として損害賠償責任の対象になることになります。

・財産以外の損害の賠償(民法719条)
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。 上記の民法の規定を根拠に、共同で不法行為をした配偶者と不倫相手に対し、精神的苦痛を受けた配偶者は、慰謝料として損害賠償の請求をすることが出来るということです。

但し、以下の場合には不倫相手への慰謝料請求が認められません。

・事実上の離婚状態(夫婦関係が破綻している)
・有責配偶者の完全主導による不倫
・有責配偶者が婚姻していたことを不倫相手が知らない
・有責配偶者との離婚に際して高額な慰謝料を受けている
・損害賠償請求権が時効で消滅している
 (不倫相手を知ったときから3年、不倫相手を知らない場合は不貞行為から20年)

※注意点※
有責配偶者とは不倫をした妻、夫。
事実上の離婚状態とは、別居状態のことを指し、家庭内別居では事実上の離婚状態とすることは難しい。
既に夫婦関係が破綻している場合には、不倫と夫婦関係が破綻した事との因果関係は認められない。
不倫をした配偶者が、婚姻事実を隠していて、不倫相手も過失がなく婚姻事実を知る事が出来なかった場合
過失とは、婚姻の事実を認識、予見することができたにもかかわらず、注意を怠って認識、予見しなかった心理状態

以下の条件が満たされていれば不倫相手への慰謝料請求は可能

・配偶者がいる相手と肉体関係を持つこと
・配偶者がいることを知っていた、又は配偶者がいることを知らないことに過失がある
・婚姻生活が継続している配偶者と肉体関係を持つこと


不倫相手へ慰謝料請求するために重要なのは不法行為に該当するかどうか
但し、不法行為に該当するかどうかの証明は、慰謝料請求をする側がする。

不法行為の証明方法

しかし近年の不倫相手への慰謝料請求の裁判では、慰謝料請求された側が婚姻の事実を知らなかったという証明が出来ないと慰謝料請求が認められるケースが出てきています。

不倫相手への慰謝料請求の相場

不倫や浮気による不貞行為が原因で離婚する場合、慰謝料の相場は「100万円〜300万円」が最も多く、離婚をしない場合の慰謝料の相場は半額の「50万円〜150万円」が一般的な金額となっております。

但し、本当は離婚したいのに子供のために我慢して離婚できない場合には、不倫によって夫婦関係が破綻したと認められるケースもあり、離婚した場合と同額の慰謝料請求が可能となる可能性もあります。

不倫相手に対する慰謝料請求の金額は、特に算定基準はなく、具体的な相場が決まっている訳ではありません。

慰謝料請求の金額は、不貞行為による損害の内容や個人の事情が考慮され決定します。

不倫相手への慰謝料請求の実際の判例

●判例(平成4年12・10日、東京地方裁判所)

夫は女性と交際をしていたが現在は別れている。
夫は女性の上司であり、交際に主導的な役割を果たしていた。
女性は退職し、実家に帰っている。
夫婦関係は一応修復されている。

請求⇒女性に対し慰謝料500万円を請求。
判決⇒慰謝料50万円が相当。


●判例(東京地裁平成4年12月10日)

夫婦は平成元年に結婚し、子供が1人いる。
職場(百貨店)の部下である女性と平成3年ころから肉体関係を持つようになり、その後約8ヵ月に渡り、不貞を続けた
親族の力添えで、AB夫婦間の関係修復が図られた。

妻は不倫相手の女性に500万円の慰謝料を請求。
判決⇒50万円の慰謝料支払い。


配偶者と第三者の不貞行為において、配偶者が主導的な役割を果たした場合、不貞についての主たる責任は 、不貞を働いた配偶者にあり、特段の事情がない限り、不貞の相手方である第三者の責任は副次的である。

夫婦の婚姻関係破綻の危機が、不貞関係のみとは言えず、既に不貞関係は解消されており、夫婦関係は修復されている。
また不貞相手は職場を退職し、社会的な制裁を受けている。